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表3.3.3.1−1に示した位相の誤差は、バイアス誤差、secularな誤差、長周期誤差、短周期誤差等に分類される。このうちバイアス誤差およびSecularな誤差については、その値が正確に推定されていれば、航法メッセージとしてユーザに情報が伝達されることによってユーザ誤差要因としては無視することができる。また長周期誤差についても、ユーザへのメッセージ伝達時間と比較してその周期が十分大きければユーザ測位誤差に殆ど寄与しない。しかし短周期の位相変化は、伝送遅延やデータレート等の制約からその結果をユーザに送信できないので、ユーザ誤差として無視できない場合が多い。これらの誤差の性質によってC/Aコードの位相誤差を分類した結果を表3−3.3.1−2に示す。

表3.3.3.1−2 C/Aコードの位相誤差の性質による分類

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これらの誤差は、地上で静止衛星から擬似レンジおよび必要に応じてGPS衛星からの擬似レンジを観測量として、カルマンフィルター等を用いて推定することが可能である。また観測によらない数学モデルを用いた補正で十分な誤差もある。これらの誤差の推定結果をC/Aコード発生タイミングの制御に反映させて、地上制御局で能動的に位相制御を行うことによって対処する方法と、誤差の総量を広義のクロック誤差と解釈して本来の基準クロックのずれとの和を航法メッセージとして送信し、ユーザ側で受動的に補正計算をする2種類の対処方法が可能である。GPS衛星でも、各衛星のC/Aコード送信タイミングが精密に同期しているわけではなく、クロック誤差のパラメータがユーザに航法メッセージとして放送され、ユーザ補正を行った結果十分な精度での距離の測定が可能となっており、この補正を行わなければ100km単位の測距誤差が残る。
(4)誤差オーダー把握
表3.3.3.1−1または表3.3.3.1−2に示した誤差要因は、静止衛星を利用したユーザの

 

 

 

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